高齢者の正しいクスリとの付き合い方

「抗凝固薬」は二次血栓をできにくくするために使われる

長時間同じ姿勢でいると静脈血栓症のリスクが高くなる

 血をサラサラにするクスリには「抗凝固薬」もあります。「抗血小板薬となにが違うの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これらはまったく別のクスリです。

 血の塊のことを血栓と呼び、血栓は一次血栓(白色血栓)と二次血栓(赤色血栓)に大別されます。一次血栓は血小板が主体となってできる血栓で、白っぽい色をしています。一方、二次血栓は血液凝固因子が関与してできる血栓で、最終的にフィブリンという糊(のり)のようなものが赤血球を巻き込みながら固まってできます。この赤血球の影響で二次血栓は赤黒い色をしています。みなさんもケガをして出血した経験があると思いますが、赤黒いかさぶたの色は二次血栓によるものなのです。

 止血という重要な役割がある二次血栓は、それ以外では血液の流れが滞ってしまうところで生成されます。その血液の代表的な場所が静脈です。静脈には逆流を防ぐための弁があり、この弁がうまく機能しなくなると血流が滞ってしまい、そこで血栓=二次血栓ができるリスクがあるのです。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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