「不登校」「ひきこもり」を考える

「良い親」ではなく「分かり合える親」を目指せば事態は好転する

写真はイメージ(C)iStock

 親が「早く立ち直って勉強して欲しい」「自立して欲しい」と愛情がゆえに思っていたとしても、子どもにも子どもなりの理由、子どもなりのペースがあります。子どもは自分自身でも自分の心がわからなくなっていることも多く、安心できる親子関係が生まれないと自分の心を感じる余裕すら生まれないという方も少なくありません。

 慌ててはいけません。かといって、いつまでものんびり手をこまねいているというわけにもいきません。不登校やひきこもりの子を持つ親は、すぐに効率的に結果を出せる「良い親になる」のではなく、時間をかけて「分かり合える親」を目指すことが大切なのです。

 じつは、「親の傾聴・共感なんて時代遅れで非科学的!どんなに病理が重くても不要です」などと、素人が聞いても首をかしげるようなことを主張される専門家も業界には少なくありません。こういう場合、専門家自身が自らの感情不全を克服できておらず、それ自体を扱うことに苦痛を生じるために理論武装で回避しているという方もおられるので、その解釈には要注意です。

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最上悠

最上悠

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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