石灰化の状態によっては、血管が硬くなっている部分を丸ごと取り換えてから、しっかり補強して治す場合もあります。一部のパーツを修理するのではなく、患部全体を取り換えてしまった方が早いうえ、後々まで故障しにくくなるケースがあるからです。
自動車のエンジンパイプが故障したときは、故障箇所にテープを張って修理してもすぐに熱を持ってまた破裂してしまう。だから、パイプ全体、あるいはエンジン全体を取り換えます。心臓も同じ。あくまでも、治した状態を長期にわたって維持できるようにする方法を選択しなければいけません。
血管の石灰化がひどい患者さんが急に心臓病を発症し、緊急状態で病院に運ばれてきた場合、お手上げで手術ができない可能性もあります。
ただ、一般的にそうした患者さんは、突然、症状が出て救急搬送されるケースはほとんどありません。多くの場合、しっかり予定を立てたうえで手術に臨むことができます。事前に3次元CTを撮るなどして心臓や血管の状態を見極めることができるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」