心臓病の患者さんは、他に何らかの病気を抱えている人が圧倒的に多く見られます。65歳以上の高齢者になると、合併症がない患者さんはほとんどいません。とりわけ高血圧や動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病は、心筋梗塞、狭心症、弁膜症、大動脈瘤などの心臓病を引き起こす危険因子なので、抱えているのが当たり前ともいえます。
合併症がある患者さんに対しては、心臓手術を受けた際、たとえば糖尿病でインスリン治療を受けているとどれぐらいリスクがアップするのかなど、解析データが細かく出ています。1万~10万例ほどの患者を対象にした分析が、「ジャパンスコア」や「ユーロスコア」といったリスク解析モデルではっきりわかっているのです。
そのため、われわれ心臓外科医が患者さんに手術の説明をする時は、「今回の場合はリスクがこれだけ上がっている」ということを十分に理解してもらい、お互いが了解した上で進めていくことが常識になっています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」