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【早期肺がんの単孔内視鏡治療】 日本医科大学千葉北総病院・呼吸器外科(千葉・印西市)

(提供写真)

 肺がん手術は、手術時に肋骨の下側を通る肋間神経を損傷しやすく、術後に肋間神経痛の合併症が残りやすい。

 特に開胸手術は約50%が2カ月以上にわたり痛みが続くといわれる。

「シングルポートは肋間神経と隣接する傷口をゴム製のリングでカバーし、肋間神経に対して愛護的に手術するので、肋間神経障害の発生が格段に抑えられます。明らかな肋間神経障害の合併率は全手術症例の5%前後。多くの患者さんは1週間程度で痛み止めの薬がいらなくなります」

 ただし、シングルポートは患者に優しい分、器具の操作に高度な技術を要する。完全胸腔鏡下手術を十分に経験していないと習得が難しいという。

 ちなみに同科が、シングルポート中に開胸手術へ移行したのは過去に1例のみだという。

「手術手技の向上ならびに手術器具がより改善すればシングルポート手術はさらに容易になり、胸腔鏡手術の際に必ずしも体に3つも4つも孔を開ける必要はないと考えています」

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