有名病院 この診療科のイチ押し治療

【がん患者の心のケア】 埼玉医科大学国際医療センター・精神腫瘍科(埼玉・日高市)

埼玉医科大学国際医療センター診療科長の大西秀樹教授(C)日刊ゲンダイ

「多くは“患者本人にどう声をかけ、対応したらいいか分からない”と悩み、家族関係がギクシャクします。がんは療養期間が長いので、極端に優しくなったり無関心になったりしないことが大切。言動を含めて、家族バランスを元に戻します」

 遺族外来は、院外からの患者が9割を占める。「つらかった闘病を思い出す」という理由で、家族が亡くなった病院には行きたくないケースが多いのだ。

「最も多い苦悩は、診断時から治療、みとりを通して“もっと、こうしておけばよかった”という自責と後悔の念です」

 遺族外来の受診者の半数以上は、周囲からの「どうして、がんに気づかなかったの?」という言葉に傷つき、約5人に1人の割合でうつ病を発症しているという。

「私たち精神腫瘍医は、がんは家族、遺族も含めて診るのが当たり前だと思っています」

 2007年4月開設。本院と分担し、がん、心臓病、脳卒中の高度専門医療を担当。
◆スタッフ数=精神腫瘍医4人(うち非常勤3人)臨床心理士1人
◆外来初診患者数(2014年度)=246人(うち家族13人、遺族30人)

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