天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

ストレスが心臓病のリスクをアップさせる

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

Q 心臓病になりやすい人には何か特徴はあるのでしょうか? 性格や仕事によっても違いはありますか?(40歳・男性)

A かつて欧米で行われた研究では、「野心的で、すぐイライラしてカッとなる性格の人」は心臓病になりやすいという報告があります。そうでないタイプの人と比べると、男女とも狭心症や心筋梗塞を発症するリスクが2倍以上も高いという結果が出ました。

 職業については、厚労省が調査を行っています。心臓病で亡くなった20~64歳の現役世代の死亡時の職業を分析したところ、いちばん多かったのは「無職」でしたが、次いで「サービス職業従事者」、「専門的・技術的職業従事者」の順に多かったという報告があります。

 職種とは関係なく、時間外労働や長時間労働が多い人は心筋梗塞の発症率が高いこともわかっています。1日11時間以上働いている人は、7~8時間の人に比べると急性心筋梗塞の発症率が2.4倍にアップします。また、週61時間以上働いている人は、40時間以下の人に比べて急性心筋梗塞の発症率が2・1倍も多くなりました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。