当事者たちが明かす「医療のウラ側」

米国心臓協会らが選んだ「最も先進的な研究ベスト10」とは?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これを見る限り、日本の最新の「高血圧治療ガイドライン」が、降圧目標を「130/80mmHg未満」から「140/90mmHg未満」に緩和したのは勇み足のような気がします。しかし、報告では降圧目標を厳しくした結果、低血圧によるめまい、立ちくらみなどがあり、転倒による大けがの可能性も高くなる。今後、日本の各医学会がどのような指針を示すのか、注目です。

 2番目に選ばれたのは、糖尿病治療にSGLT2阻害薬を上乗せすることで2型糖尿病の心血管イベントが減少し、その死亡リスクも38%低下したという「EMPA―REG OUTCOME」試験です。42カ国、590施設が参加、心血管イベントのある2型糖尿病約7000人を対象とした試験の結果です。

 これまでの糖尿病の薬は「血糖値は下げても、心筋梗塞などの心血管イベント死リスクの低下や長寿に寄与を明確にするものはほとんどない」といわれてきました。その意味では糖尿病治療の“大事件”であることは間違いありません。

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