病気に潜む「脳の異常」

記憶をつかさどる海馬などが委縮 「糖尿病」が脳を壊す

いまや医学の常識(提供写真)

「糖尿病の人の脳が萎縮することは間違いありません。ただ、なぜ、糖尿病になると脳が萎縮するのかは、いくつかの推測がなされていますが、正確なことはわかっていません」(大学医学部の公衆衛生学教授)

 糖尿病で脳が萎縮するのは、高血糖により脳の血管が詰まり、神経細胞が壊れるからというのが一般的な考え方だ。しかし、糖分そのものが脳を萎縮させるとの考え方もある。

 糖分を過剰摂取すると脳内が高血糖状態となり、それを抑えるためインスリンが常に出ている状態になる。そうすると過剰なインスリンを分解する酵素が消費される。その酵素は脳が萎縮するアルツハイマー型認知症の原因といわれるアミロイドβタンパク質も分解する。高血糖状態が続くと、酵素はインスリンの分解を優先するため、アミロイドβタンパク質が脳内に蓄積され、アルツハイマー型認知症を発症してしまうというのだ。このことから、アルツハイマー型認知症を第3の糖尿病と呼ぶ医師もいる。

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