年を取ったらクスリを見直せ

認知症患者は「抗精神病薬」を急にやめてはいけない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高齢化の進展に伴い、認知症の患者さんが増加しています。2025年には約700万人、高齢者の約5人に1人に達すると予測されているほどです。

 認知症は、記憶力や判断力が低下する病気ですが、それだけではありません。幻覚、妄想、うつ、不安、焦燥、興奮、攻撃性、徘徊といった周辺症状(BPSD)を伴う場合が多くあります。BPSDは、患者本人だけでなく、介護者の心理的、身体的負担を増加させます。そして、環境の整備や福祉サービスを活用しても改善できない場合に、「抗精神病薬」の使用が検討されます。

 その際、頻繁に使われているのが統合失調症治療薬「クエチアピン」です。クエチアピンは脳内の神経に作用し、せん妄や興奮状態を抑える働きがあり、BPSDの改善も期待できるのです。

 しかし、血糖値を上昇させる副作用があるため注意が必要です。実際に、糖尿病を合併している認知症の患者さんに使われ、高血糖や糖尿病性昏睡などを起こした事例もあります。クエチアピンを服用している間は、高血糖の症状である「口渇、多飲、多尿、頻尿」などの異常に気をつけましょう。

1 / 2 ページ

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。