受診までの「応急処置」

【低温やけど】損傷が深いと冷やしてもあまり効果なし

思っている以上に皮膚のダメージは大きい(C)日刊ゲンダイ

「Ⅲ度熱傷は、皮膚の表皮、真皮、その下にある脂肪層までやけどで壊死している状態です。こうなると知覚神経まで損傷されるので痛みは感じません。やけどは、痛みが出る方が軽症なのです」

 一般的なやけどの応急処置は、すぐに水道水などの流水で15~20分くらい冷やすのが基本。低温やけどの場合も、冷やさないより冷やした方がいいが、損傷が深いとあまり効果はないという。市販の塗り薬(消炎鎮痛薬など)を使っても、Ⅲ度では薬の成分が深く浸透しないので効かない。 

 脂肪層まで壊死した低温やけどでは、放置して細菌感染などを起こすと壊死が広がる恐れがある。治すには、皮膚科の外来通院を続け、時間をかけて壊死した組織を切除する手術治療が必要になるという。

「低温やけどを起こしたと思ったら、細菌感染させないように水ぶくれがあれば破らず、患部にガーゼなどを当てて早めに皮膚科を受診してください。入浴するにしても3日間は湯船には入らず、シャワーで済ませること。体を温めると患部を悪化させてしまうからです」

 やけどの大きさにもよるが、低温やけどでは治療を受けても皮膚が元に戻るまでに3週間~1カ月以上かかり、傷痕は残るという。特に、重度の糖尿病患者が足をやけどすると治りにくく、潰瘍や壊疽(えそ)の原因になる。就寝時の暖房器具は気をつけて使おう。

2 / 2 ページ