ドキュメント「国民病」

【変形性膝関節症】ストロイド剤注射で血糖値が急上昇し

 それから高橋さんは「ステロイド剤」の注射をやめ、2カ月後に再び血液検査を受けた。すると、「HbAlc」が6.5%に下がり、さらに2カ月後の血液検査で5.9%と正常に戻った。

 膝関節の治療では全国でもトップクラスの東京慈恵会医科大学・整形外科の斎藤充准教授(診療副部長)が言う。

「膝関節の治療薬にステロイドを用いて、血糖値が上がる患者のケースはあります。ステロイドは肝臓での糖新生を促進して、各組織での糖の取り込みを抑制したり、インスリンに対する抵抗性を高めてしまうなどの機序により、糖尿病を引き起こすことが指摘されています。ですから私は注射や飲み薬も同じですが、糖尿病を持つ膝関節症の患者治療には、ステロイドの使用を慎重にしています」

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