健康投資も二極化の時代…医師が指摘「ほどほどが一番」

話をしてくれた東大医学部付属病院放射線科の中川恵一准教授/(C)日刊ゲンダイ

「その分類は年収を反映する傾向がありますが、低所得者が多い国保ほど検診受診率が下がる傾向があります」

 低所得者は無防備なのだが、知識がないことによるリスクも大きいという。

「たとえば、胃がんは95%がピロリ菌の影響といわれています。胃がん検診が面倒なら、ピロリ菌を除菌すればいいのですが、そういう情報を知らされていないがゆえ、胃がん検診も除菌治療も受けないケースが少なくないのです」

 ほかのがんについても同様だ。食事や運動などの生活習慣は高所得者ほど栄養バランスに気をつけ、適度な運動を心掛ける傾向が強い。低所得者は逆だ。

「特によくないのが食事です。低所得者は炭水化物と脂質に偏り、肥満と糖尿病を招きやすい。糖尿病は、がんとも密接な関係があり、ダブルでよくないのです。それで、血糖値対策と称して、サプリを飲んだりしても効果はゼロ。根本の食事を改めるべきなのに、そうなっていないケースが往々にしてあるのです」

 では、どうするか。公的検診だ。「ほどほど」とはそういうことだ。

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