「がんと仕事」厳しい両立

故・愛川欽也さんは選択 あえて無理ながん治療はしない

入院は仕事と治療の両立を阻むカベ(右上から愛川欽也氏と今井雅之氏)/(C)日刊ゲンダイ

 もちろん、2人のがんは違うが、最期まで仕事ができたかできないかという視点でみると、それぞれの選択が大きな意味を持つ。乳がん治療を経験したファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏もこう言う。

「どこまで治療するかは本人次第ですが、相談者には仕事は辞めないように伝えます。健康を維持するには、お金が必要。そのためには、気持ちの上で生きがいとなることも大切です。そういう視点に立つと、仕事を優先して、あえて手術や抗がん剤をパスする選択をする相談者は少なくありません」

 プロジェクトリーダーとして結果を出すまでは仕事に専念したい。人前に出る仕事だから、抗がん剤の副作用で髪が抜けるのは困る……。黒田氏の元には、いろいろな相談者が訪れるが、ベースにあるのは仕事だ。

「無理な治療を避けながら、最低限痛みを取る緩和ケアを受ければ、愛川さんのような最期を迎えられます」(中川氏)

 そのときの身の振り方は、元気なうちに考えておくのが無難だ。

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