動脈硬化に勝つ

狭心症治療で長生きはできない 治療不要の声も

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 狭心症や心筋梗塞は、動脈硬化の進行で血管が狭窄して発症する。1カ所に狭窄が起こっていれば、血管のほかの部分にも程度は軽くても狭窄があると考えたほうが自然だ。実際、心筋梗塞を起こした人の血管を調べると、95%の人に、梗塞を起こした血管以外に平均で3~4カ所も不安定なプラークがあった。これらが2~3年で次の狭心症や心筋梗塞を起こすのだ。

 再狭窄の問題もある。バルーンで狭くなった血管を広げる場合、再狭窄率は30~40%。バルーンを使って網目状の金属であるステンレスを膨らませ、狭窄部分を広げるステント留置術は、20%前後の再狭窄率。

 これらを改善するために開発された免疫抑制剤がコーティングしてある薬剤溶出型ステントは、再狭窄を起こしにくくするので、再狭窄率は5%前後に著明に減った。しかし、残念ながら、再狭窄が減っても再発は防げず、死亡率は下がらなかった。

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伊東春樹

伊東春樹

日本循環器学会専門医、日本心臓病学会(上級臨床医、FJCC)。「けやき坂医科歯科クリニック」非常勤。