東京オリンピックの後のニッポン

「2025年」が分岐点に 英国並みにがん治療が制限される

気軽に受診できなくなる

 東京五輪の次を楽しむ余裕はないだろう。日経新聞は先月30日、1面トップで「国民皆保険による医療 医師の半数『持続不能』」と報じた。日本が世界に誇る制度のひとつ、国民皆保険制度の崩壊をうかがわせる。それも役人や学者の机上の空論ではなく、現場の医師の調査だから見過ごせないだろう。

 崩壊の分岐点はズバリ、2025年。団塊の世代が全員、75歳以上の後期高齢者になる年だ。

 厚労省の試算によると、11年に34兆円だった医療給付費(公的保険から医療機関や薬局に支払う費用の総額)は25年に54兆円に急増する。

 生涯にかかる医療費の半分は、70歳以上に費やされ、75~79歳にピークを打つという。後期高齢者1人当たりの年間医療費は約92万円で、国民平均(約30万円)の3倍に上る。

 破綻寸前といわれる年金財政は100兆円を超える基金があり、パンクするまで20年以上の猶予があるが、基金なしの医療費と保険制度の破綻は時間の問題だ。

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