医者も知らない医学の新常識

脂肪分が多いヨーグルトで動脈硬化が予防できるのか?

ヨーグルトが効果的(C)日刊ゲンダイ

 乳製品はカルシウムなどを多く含み、健康に良いといわれている一方で、乳脂肪という動物性脂肪が多いことから、生活習慣病の予防には、あまり良くないのでは、という意見もあります。

 過去には「一部のがんリスクが、乳製品の取り過ぎにより増加する」という報告も見られました。これまでの多くの研究では、牛乳もヨーグルトもチーズも、同じ乳製品としてひとくくりで議論されることが多かったのですが、最近は「牛乳とヨーグルトやチーズでは、その性質が違う」という報告が多く見られるようになりました。たとえば、一部のチーズが認知症の予防に有効という研究があります。これは牛乳では見られない効果です。

 今年の高血圧の専門誌に発表された研究によると、血圧の高い人が1週間に2回以上ヨーグルトを1カップ食べると、ほとんど食べない場合と比較して、男性で21%、女性で17%も、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化と関係のある病気が予防されていました。他の食事バランスも注意している男性では、その予防効果はより高く、30%の低下が認められていました。

 ヨーグルトを食べる習慣は、生活習慣病の予防に効果的な可能性が高そうです。ただ、取り過ぎれば、やはり脂肪が多くなりますから、1日に小さなパック1個くらいが適量と考えるのがいいと思います。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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