気鋭の医師 注目の医療

10分で1リットル処理 「難治性腹水」世界初の効果的治療法

松崎佳祐院長(提供写真)

 このCARTのシステムを改良し、問題点を解消させたのがKM―CART。以前の心臓外科時代に「体外循環とろ過膜」を研究していたからこそ実現できたという。

 ろ過膜の方式を変更し、目詰まりを取る洗浄機能を追加。専用のポンプ装置を不要にし、汎用のポンプと吸引器を使用している。装置を単純化したので、誰でも簡単に操作できる。これらの改良で、がん性腹水を大量に早く処理することが可能になったのだ。

「従来法では1リットルの腹水を処理するのに1時間近くかかっていましたが、KM―CARTでは10分です。全量抜いていて、1人平均7~8リットル程度。中には1回に27リットル抜いた患者さんもいます。大量に腹水が抜けると、臓器の働きが回復し、食事も取れるようになるので、患者さんは見違えるほど元気になります」

 乳がんで腹水が9リットルたまっていた女性が治療をして4日後にゴルフに出掛けたケースもあったという。

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