卵巣がん死亡率が95%低減 遺伝子検査を医師が薦める根拠

卵巣がんは1次予防が大事(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 日本乳癌学会は先月、診療ガイドラインで、遺伝子変異が原因で乳がんを発症した患者について、がんになっていない側の乳房も再発予防のために切除することを「強く推奨する」との見解を示した。関連してさらに押さえておきたいのは、卵巣がんについてだ。

「遺伝子変異が原因の乳がん」とは、誰もが持つ「BRCA1」「BRCA2」の2つの遺伝子に変異が見られる乳がんだ。遺伝子変異があると、ない人に比べて、乳がんになる可能性は6~12倍と考えられている。

 そしてBRCA1・2遺伝子変異は、卵巣がんにも関係している。遺伝子変異がある人の卵巣がん発症リスクは、10~40倍。遺伝性の乳がん、卵巣がんを合わせて、「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)」と呼ぶ。

 なぜこの記事で、乳がんのニュースから卵巣がんへと話を展開したか? それは、検診で早期発見が可能であり適切な治療で9割以上が治癒を期待できる乳がんに対し、卵巣がんは治る段階で発見するのが非常に困難だからだ。

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