心と行動を変える健康革命

血圧で大切なのは安静時血圧より環境や活動した時の変化

(C)日刊ゲンダイ

 冬は夏に比べて心臓病の患者が増える。なぜか? 多くの人は「冬は体温を保持するために血管が収縮して血圧が上がるから」と考えるに違いない。しかし、「必ずしもそうではない」と言うのが東京慈恵会医科大学病院(東京・西新橋)の「行動変容外来」を主導しつつ、同大晴海トリトンクリニック所長を務める横山啓太郎教授だ。

 実際に、冬は夏に比べてどれだけ血圧が高いのか? それを調べた研究がある。11万人の日本人を対象にしたもので、男性で平均で6・2㎜Hg、女性で7・3㎜Hgだった。問題は、平均7㎜Hg血圧が上がることは、どのくらい心筋梗塞などの心血管病リスクを上げるのか、だ。

「欧米の研究では140㎜Hgあった血圧を薬で120に低下させたところ、5年間で2%の人に心臓病の発症リスクが下がったという報告があります。多くの人は“たったそれだけか”と思うかもしれません。しかし、これらは安静時血圧の数値です。活動したときの活動の内容によって、冬と夏の血圧差はさらに大きくなります。しかも、同じ寒い環境にいた人でも血圧の変動が高い人と低い人と分かれます。つまり、血圧で大切なのは安静時血圧ではなく、患者さんがいた環境や活動したときの血圧変化なのです」

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横山啓太郎

横山啓太郎

1985年東京慈恵会医科大学医学部卒。虎の門病院腎センター医員を経て現在、東京慈恵会医科大学教授。同大学晴海トリトンクリニック所長。

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