精神科医が語る「自殺者が少ない地域」7カ所の共通点

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある自殺希少地域での特別養護老人ホームでは約40人の入所者がいたが、抗精神病薬を服用している人はゼロで、睡眠薬は2、3人。これは珍しいケースであり、森川医師は「最新の介護手法を用いた結果か」と考えていたという。

「しかし訪問すると、そうではない。ただ、一人が歌いだすとほかの入所者も歌いだす。独り言もとがめない。怒ったり、薬が必要なのでは、と考えるところも多いのですが……。あの人はあの人だといった理解が入所者やスタッフにある」

 森川医師はクリニックで治療を行う際、うつ病や統合失調症といった診断名はいったん横に置き、「何が今つらいのか」「ここに至るまでどういう人生を送ってきたのか」「何を話したいと思っていたのか」を聞く。重要視するのは、やはり対話だ。うつ病になった直接的な原因を探り、解決したとしても、問題点が減っただけで、自殺防止にはつながらないからだ。

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