専門医が教える パンツの中の秘密

【陰茎折症】「ポキッ」とトウモロコシを折ったような音が

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 では、なぜペニスが折れるのか。理解してもらうために、ペニスの構造から説明しましょう。ペニスは尿道を囲むように亀頭を含めた一本の尿道海綿体と、その両側に陰茎海綿体があります。海綿体はスポンジ状になっていて、性的興奮によって血液が流れ込み貯留することで、長く太く硬い勃起の状態になります。

 そして陰茎海綿体は、「白膜」という伸展する丈夫な繊維の膜で包まれています。「折れる」というのは、この白膜が破れて断裂した状態をいいます。折れたときは「ポキッ」というトウモロコシの茎を折ったようなクラック音がすることが多く、断裂した部分が皮下出血で暗紫赤色(あんしせきしょく)に腫れ上がり、亀頭が折れた側の反対側に曲がります。激痛を伴うこともあれば、あまり痛みを感じない場合もあります。

 ペニスをいじくることの多い夜間に発症しやすいわけですが、「恥ずかしいから」「夜だから」などと受診をためらっていてはいけません。破れた白膜を放置しても自然に元には戻りません。できるだけ早急に治療をしないと、ペニスが曲がったままの陰茎湾曲や性交時痛、ED(勃起障害)などの後遺症が出やすくなります。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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