そこで山嶋医師は、塩酸クロロキンと同様、亜鉛の細胞内流入を促進するケルセチンに注目した。玉ネギやリンゴの皮に含まれるポリフェノールの一種だ。
ウイルスはヒトの細胞に入ると細胞膜にくっつき、ヒトの細胞が持つタンパク合成システムを横取りして、ウイルスのRNAとタンパクを量産させる。
「かつてSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時、SARSの治療薬の研究で、亜鉛がウイルスのタンパク・RNA合成システムの転写因子RdRpを阻害し、ウイルスの増殖を抑制することが明らかになりました。新型コロナは遺伝子がSARSと酷似する、同系のRNAウイルス。推定ですが、SARSと同様、亜鉛が新型コロナの増殖を抑制できる可能性がある。遺伝子変異を来しやすい新型コロナに対しては、むしろワクチン以上のパワーを発揮するかもしれません」