なぜ「基本再生産数」と「致死率」が注目されるのか?

トランプ大統領が経済活動再開を口にし始めた理由は…(C)ロイター

「最近の論文では、真の致死率は1%前後ではないか、という見解が増えています。なかには0・3%という、かなり低い数字を提案している論文もあるのです」

 イタリアやスペインの致死率は10%を超えているが、それは医療崩壊が進んだ結果、重症患者や重篤患者しか検査が行われておらず、見かけ上は高くなったからではないか。仮に致死率が0・3%とすれば、死者が2・4万人のイタリアでは800万人が感染したことになる。新規の感染者が減少し続けていることと考え合わせると、イタリアは集団免疫を獲得しピークを過ぎたともいえる。

 米国では、国民をランダムに抽出した抗体検査が始まっている。それによって真の感染率が分かれば、致死率も明らかになる。その数字いかんによっては、経済活動再開の糸口になる。

 最近、トランプ米大統領が、経済活動の再開を盛んに口にするようになった。それは、致死率が低く、感染がピークアウトになることを確信しているからかもしれない。

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