子供の「眠れない」を放置すると不登校や成長の妨げを招く

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし日本ではこれまでメラトニンは薬として承認されておらず、試薬やサプリメントの個人輸入で用いるか、2010年に大人の睡眠障害に承認されたメラトニン受容体作動薬ラメルテオンを、使用量を少なくして子供に用いるかだった。

「子供への承認がない中で使えば、薬害が生じた時、国からの補償が一切ない。それでも、子供の睡眠障害の放置は不登校につながりかねず、薬を使わざるを得ませんでした。しかし3月、『小児期の神経発達症に伴う入眠困難』を対象にしたメラトニンが初めて承認されたのです」

 対象は、臨床試験で安全性・有効性が確認された6~15歳。メラトニンはもともと体内にある物質で、それを補充する今回の薬では重篤な副作用は認められていない。3カ月間を目安に使うこととされている。

「メラトニンを1日1回経口投与した子供たちは睡眠障害だけでなく、神経発達症特有の日中の異常行動の改善がみられ、日中の機嫌も改善。薬で質の高い睡眠を取れるようになったことで、睡眠の重要性を理解でき、薬をやめた後も、よい睡眠環境を子供自ら維持できるようになるケースが珍しくありません」

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