みんなの眼科教室 教えて清澤先生

充血や眼球の痛みが…熱中症で目に症状が出るケースもある

炎天下でのマスクは辛い(C)日刊ゲンダイ

 どちらの原因であっても熱中症と思われる症状が見られたら、冷所で安静を保ち衣服を緩めた後、首筋、脇の下、足の付け根といった太い血管のあるところをアイスノンなどで冷やし、急速に体温の低下を図ることが重要です。暑熱環境で体調不良になったときは、すべて熱中症を疑って対応すべきだとされています。

 熱中症の初期症状として、「手足のしびれ」、「めまい」、「筋肉のけいれん」、「筋力の低下」、「吐き気」などの症状があります。目の症状としては倒れる前に「目の充血」が表れ、「眼球の痛み」、「かすみ」、「チカチカする感じ」、といった症状が現れることもあります。軽症の段階であれば、現場の応急処置で回復することが多いようです。

 熱中症が重度になると、肝臓・腎臓といった臓器障害とともに、中枢神経系の症状も見られてきます。中枢神経系は高体温により有害な影響を受けやすい器官です。「せん妄」、「錯乱」、「妄想」、「けいれん」、「幻覚」、「運動失調」、「振戦」、「構音障害」、といった症状は、中枢神経系の障害で起こるものです。また、眼球運動を含む「小脳症状」、「けいれん発作」などもみられます。小脳のプルキンエ細胞は特に熱に脆弱性があると言われており、熱中症の後遺症として小脳性運動失調を来すことが知られています。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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