大量の汗で悩む人に…日本初「多汗症」の保険適用薬が登場

手をつなげない人も…(C)日刊ゲンダイ

「そのため、塩化アルミニウムは市販剤を使うか、薬局で調剤してもらうか。外用剤の治療をきちんとできていないクリニックも多い」

■1日に1回塗るだけ

 日本初の保険適用の外用薬「ソフピロニウム臭化物ゲル(商品名エクロック)」は、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2つの汗腺のうち、エクリン汗腺に働きかける作用がある。原発性局所多汗症の汗はエクリン汗腺から分泌される。

「エクリン汗腺は交感神経により調節されており、アセチルコリンがエクリン汗腺のムスカリン受容体サブタイプ3(M3)を刺激し、発汗を誘発すると考えられています。エクロックの有効成分は、エクリン汗腺に発現するM3を介したコリン作動性反応を阻害し、発汗を抑制します」

 1日1回、両脇の下に十分量を塗る。塩化アルミニウムは皮膚炎を頻回に起こして途中で使用をやめざるを得ない患者が少なくないのに対し、エクロックは皮膚に対する副作用はほぼなく、同種の薬に見られる口の渇きなど全身性の副作用も少ない。治療のチャンスがある。まずは、脇の下の汗の悩みを一人で抱え込まないことだ。

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