上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「鬼滅の刃」にはコロナに打ち勝つポイントが描かれている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

「鬼滅の刃」が社会現象ともいえる大ヒットとなっています。少年ジャンプで連載されていたマンガで、テレビアニメや映画も記録的な人気を誇っています。大正時代を舞台に、家族を鬼に殺され、鬼になってしまった妹を人間に戻そうとする主人公・竈門炭治郎が、仲間に支えられながら剣術や体技の鍛錬を重ね、鬼の始祖・鬼舞辻無惨を打ち倒す冒険譚です。

 私もコミックス全23巻を読破しましたが、この物語には、新型コロナウイルス禍に苦しむわれわれが学ぶべきところがいくつもあると感じました。それくらい今の状況と合致しているのです。

 まず、物語に登場する「鬼」は「ウイルス」そのものです。宿敵の無惨は、自分の血液を与えることで人間を鬼に変えてしまう力があります。鬼になった人間は他人を食らうようになり、食らえば食らうほど強く異形化=変異していくのです。鬼は外傷や老化で死ぬことはなく、消滅させるには、日光を浴びせるか日光の力を宿した日輪刀で頚を切るしかありません。現時点では消滅させる手だてがほとんどなく、増殖と変異を繰り返す新型コロナウイルスとそっくりです。

1 / 5 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事