男性不妊症のすべて

男性患者の診察、診断は具体的にどのように行われるのか

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 男性不妊症の外来では、陰部の診察を必須にしています。

「Aさん、ズボンと下着を脱いで横のベッドに寝てください」

 まずは、陰毛の発育状態、陰茎の大きさ、陰嚢の状態を観察します。次に陰部の触診に移ります。陰嚢の付け根の精索を触り、精管を確認するのです。そして、陰嚢内に精巣が左右に2個あるのを確かめ、さらに触ってしこりがないかどうか、大きさも確認します。

「では、ベッドから起き上がって床に立ってください。そして鼻をつまんで、お腹に力を入れてください」

 その際、陰嚢の付け根の精索の部分を触ります。これが精索静脈瘤の触診による診断方法です。まずは右側から、次に左側を行ないます。

■ブニョブニョを感じたら精索静脈瘤を疑う

「ん? 左側にブニョブニョした感じのものを触れますね。今までご自身で気付かれたことはありますか?」

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小林秀行

小林秀行

1975年、東京都生まれ。2000年東邦大学医学部を卒業。卒後研修終了後に東北大学大学院医学系研究科病理病態学講座免疫学分野に進学。医学博士を取得。ペンシルバニア大学獣医学部にてリサーチアソシエイト。その後、東邦大学医学部泌尿器科学講座に復帰。2014年より現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は男性不妊症。noteにてブログ「Blue-男性不妊症について」を配信中。

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