また、手術後も培養室で全量検索を続けて、精子がいないかどうか確かめています。精子がいた場合は、液体窒素を用いて凍結します。
■合併症でテストステロン値が低下する場合も
TESEにおける合併症は、精巣組織を採取することでテストステロン値が低下することです。術前の総テストステロン値が3・0ng/ml以下を示す場合は注意が必要です。術後に低テストステロン血症になると、疲れやすくなったりうつ状態になったりします。低テストステロン血症には、内服薬による治療法はありません。テストステロンを注射で投与することになります。個人差にもよりますが、2週間から4週間おきに外来受診が必要になり、継続で注射が必要になります。
TESEは保険適用ではないため、費用が比較的高額になります。厚生労働省が行なった不妊治療費用の実態調査によると、シンプルTESEは約19万円、マイクロTESEは約32万円でした。しかし、2021年1月からの助成金の拡充により、妻年齢が43歳未満であれば男性の年齢制限はなく、1回当たり30万円が給付されます。そのため、自己負担も少なく治療を受けることができます。
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