Dr.中川 がんサバイバーの知恵

だいたひかるさんは順調 がんと不妊治療を両立させる女性のプランは3つ

だいたひかるさん(C)日刊ゲンダイ

 男性も女性も結婚年齢が上昇。30代、40代での結婚は珍しくありません。皮肉なことに、その年代は乳がんや子宮がんが発症しやすいことも分かっていますから、妊娠を希望される夫婦にとっては、がんの治療と妊娠の両立が大きなテーマ。だいたさんのような対応が必要になることがあるのです。

 抗がん剤や放射線の治療を受けると、精巣や卵巣の機能が低下するため、妊娠できなくなるリスクがあります。男女ともにリスクがあり、それを回避することが重要なのです。

 男性の場合は、採取した精子を液体窒素で凍結して保存する方法のみですが、女性は3つあります。卵子を採取して凍結する方法、卵子とパートナーの精子を受精させて受精卵として凍結する方法、そして片側の卵巣を摘出して凍結する方法です。

 既婚者やパートナーがいるケースでは、だいたさんのように受精卵を凍結する方法が確実でしょう。受精卵の方が、卵子凍結より凍結のストレスに強く、融解時の回復率は95%。卵子凍結の場合は80%程度で、受精卵凍結の方が、卵子凍結より将来の妊娠確率は上がります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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