「多発性硬化症」ってどんな病気? 再発と寛解を繰り返し…

多くは20代で発症(C)日刊ゲンダイ

 その症状は、感覚障害、運動障害、視力・視野障害、排尿・排便障害、性機能障害、認知機能障害、精神症状などさまざま。一般的に20代で症状が表れ始めるが、最初は診断がつかず、再発して確定診断となることが多い。

「典型的なMSで治療が不十分だと再発、寛解を繰り返し、40~50代で歩行障害が顕著になり、再発がなくても症状が進行し、車椅子、寝たきりと進むことがあります」

 再発期にはステロイド剤の点滴注射など炎症を鎮める治療が行われる。寛解期に入ると、再発・進行を抑える薬物治療が重要になる。経口剤、点滴製剤、筋肉注射・皮下注射製剤がある。

「理想は、多発性硬化症の診断時からの強力な治療介入です。障害が残る前に治療を開始できれば、障害なしで一生を過ごせるからです。問題は副作用です。リンパ球が脳で活性化しない状況をつくれば炎症は起こらずMSの再発・進行を抑制できますが、病原体に対しての抵抗力が落ちるため、JCウイルスが増殖するPML(進行性多巣性白質脳症)のリスクが高くなる。これは非常に致死率の高い病気です」

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