役に立つオモシロ医学論文

新型コロナによる生命の損失は世界31カ国・地域で2800万年超

米国では主要死因ランキングで新型コロナウイルス感染症が3位に(C)ゲッティ=共同

 解析の結果、平均余命の低下が認められたのは31の国や地域でした。失われた平均余命はロシアが最も多く2.32年、次いで米国が1.98年となっています。一方で韓国、デンマーク、アイスランドでは平均余命の短縮は認められず、ニュージーランド、ノルウェー、台湾では平均余命が上昇していました。

 平均余命の低下が観察された31の国や地域では、2020年に2億2200万年の生命の損失が認められ、これはパンデミックが発生しなかった場合に予想される生命の損失よりも2810万年上回っていました。

 この推計値は、2015年にパンデミックを起こした新型インフルエンザの5倍以上に匹敵すると報告されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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