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認知症の原因物質の蓄積の有無がわかる「アミロイドPET検査」どう活用すべきか

アミロイドβは発症する20~30年前からたまり始める

 アルツハイマー病発症の引き金となるタンパク質、アミロイドβ。これが脳に蓄積しているかどうかを調べられる検査「アミロイドPET」を受けられる医療機関が増えています。

 当院が開業した2018年には、アメリカでは300を超える施設でアミロイドPET検査を行っているのに対し、日本でアミロイドPET検査を受けられる施設は10カ所未満でした。認知症専門医が担当し、その後の対策と治療を包括的に行っているクリニックとなると、私のところくらいだったでしょうか。

 今回は、「アミロイドPET検査をどう活用すべきか」をテーマにしたいと思います。

 アミロイドPETは、アミロイドβに取り込まれる性質を持つ放射性製剤を体内に投与し、MRIなどには映らないアミロイドβの沈着の度合いを画像で確認する検査機器です。

 冒頭で触れたように、アミロイドβは、アルツハイマー病の発症の引き金になるタンパク質で、アルツハイマー病を発症する20~30年前からたまり始めます。アルツハイマー病患者が70歳代以降に多いことを考えると、40~50歳代からたまり始めるということになります。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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