感染症別 正しいクスリの使い方

【ピロリ菌】除菌には複数の薬を併用するため副作用に注意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)という名称の細菌をご存じの方は多いのではないでしょうか? 

 ピロリ菌は胃の表層を覆う粘液の中にすみつく細菌で、感染したまま放置しておくと、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどを引き起こすことが知られています。

 検査などでピロリ菌が発見された場合には、ピロリ菌の除菌療法を行うケースが多くなっています。

 ピロリ菌の除菌には、2種類の「抗菌薬」(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と、「胃酸分泌抑制薬」を1日2回、1週間服用します。胃酸分泌抑制薬は胃内での抗菌薬の効果を低下させないために使われます。

 複数の薬を併用するため、それだけ副作用も起こりやすくなります。最も多い副作用は下痢・軟便です。ほかに味覚異常、口内炎、皮疹、腹痛や頭痛などを起こす場合もあります。副作用が軽微な場合は、耐性菌などの出現を防ぐためにも1週間の服用をきっちり完遂したいところです。しかし、強い副作用が出た場合には、直ちに薬の服用を中止して、担当医の診察が必要になります。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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