感染症別 正しいクスリの使い方

【ピロリ菌】除菌には複数の薬を併用するため副作用に注意

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 除菌治療終了後は4週間後、再度ピロリ菌の検査を行います。8割程度は成功するといわれていますが、除菌が失敗していた場合には、クラリスロマイシンを「メトロニダゾール」などの抗菌薬に変更し、2次除菌治療を行います。ただし、メトロニダゾールは脳へ移行するため、脳卒中などのように脳に器質的な異常がある患者さんは禁忌とされています。

 2次除菌治療が失敗してしまった場合には、希望により3次除菌を行うケースもありますが、保険診療では認められておらず、自由診療(自費)になる場合があるので確認しておきましょう。

 ピロリ菌はいったん持続感染が成立すると自然消滅することは極めてまれだと考えられています。慢性胃炎など胃の症状が続いている方は、一度ピロリ菌の検査を受けてみるのはいかがでしょうか。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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