役に立つオモシロ医学論文

白内障の手術で認知症のリスクが3割減 効果は5年以上続く

生活の質の改善は大切

 平均で7.8年にわたる追跡調査の結果、認知症の発症は白内障の手術をしていないグループと比較して、手術をしていたグループで29%、統計学的にも有意に低下しました。なお、この効果は5年以上にわたり持続していました。

 手術をしていた人は、手術をしていない人に比べて健康状態が良好であり、認知機能も高い可能性を指摘できます。しかし、研究参加者のうち緑内障(眼圧が高くなり、視野が狭くなる目の病気)の手術をしていた人と、手術をしていない人の比較では、認知症のリスクに違いがみられませんでした。論文著者らは「白内障の手術が、長きにわたり認知症の発症リスク低下と関連していることを踏まえれば、患者やその家族の生活の質の改善はかなり大きい可能性がある」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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