骨粗しょう症には歯の治療で骨が腐る「顎骨壊死」のリスク…骨吸収抑制薬の長期服用で誘発

「骨粗しょう症」を抱えている人は歯科治療する際は注意が必要

「2003年、骨吸収抑制薬のビスホスホネートを服用している患者が抜歯などの外科的な歯科治療を受けた後、まれに『顎骨壊死』を発症するケースが報告されました。顎の細胞や組織が死んで骨が腐った状態になり、口腔内細菌の感染によって顎の痛み、腫れ、化膿といった症状が現れます。進行して悪化すると、壊死が広がって顎の骨が折れたり、皮膚の表面に穴が開いて膿が漏出するケースもあります」

 ビスホスホネートの長期服用がなぜ顎骨壊死を起こすのか、まだ詳しい機序ははっきりわかっていないというが、日本の研究では、ビスホスホネートに認められる「白血球に働きかけて殺菌物質の産生量を増やす」という作用が関係しているとの報告がある。ビスホスホネートを長期服用している人の場合、口腔内に常在している細菌が歯周ポケットや歯科治療による外傷などから顎の骨の中に侵入して炎症を起こすと、白血球が産生する殺菌物質が過剰になり、自分の細胞などを攻撃するなどして顎骨壊死を誘発しやすくなるという。

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