今まさに「ダブルパンデミック」(同時流行)の恐怖が日本を襲う!?

 昨年11月の時点で国民の5人に1人が新型コロナの感染経験者とか。コロナ感染後の後遺症に悩む人も少なくない中、懸念されるのは後遺症の1つ「免疫力の低下」に伴ってその他の感染症を引き起こすことであり、とりわけ新型コロナとインフルエンザの「ダブルパンデミック(同時流行)」を心配する声も高くなっている。そこで最悪の事態を防ぐにはどうしたらいいのかを取材してみた。

■インフルエンザ流行の兆しあり

 依然として新型コロナの終息が見えない今、新型コロナとインフルエンザとの「フルロナ(同時感染)」や「ダブルパンデミック」が大きな話題となっている。シドニー五輪柔道金メダリスト・井上康生さんの妻でタレントの東原亜希さんが自身のインスタグラムで「『フルロナ』を発症して体力レベルが0になった」と告白したのはつい先日のことだし、昨年12月には埼玉県の地域の異なる県立高校2校でインフルエンザによる学級閉鎖が2年9カ月ぶりに実施されたことを受けて大野元裕知事が「ダブルパンデミックの兆しが疑われる」とコメント。県民に対して感染防止策の徹底を呼びかけるなど警戒の色を強めている。

 では現在、日本ではインフルエンザの感染状況はどうなっているのか、そして今後「ダブルパンデミック」が猛威を振るう可能性はあるのか、感染症に詳しい東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授に聞くと、

「インフルエンザは今、間違いなく流行しているといってもいいでしょうね。しかも、新型コロナは第8波の真っただ中にある状況で収束の兆しが見えていませんし、インフルエンザは例年1月末から2月の初めの一番寒い時期にピークを迎えることが多いので、まさに今こそが『ダブルパンデミック』に最も気をつけなくてはいけない時だと考えていいと思います」

 と警鐘を鳴らす。

東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科 寺嶋毅教授
「ダブルパンデミック」が医療機関にさらなる悪影響を

「ダブルパンデミック」が拡大することでますます心配になるのが、医療機関が逼迫し十分な診察や治療が受けられなくなることだ。すでに新型コロナへの対応で病床使用率が50%を超えている自治体も多い中、新型コロナとインフルエンザは症状が似ているため、検査をしてみないとどちらか判別できないだけに、今ここで「ダブルパンデミック」が起きてしまうと医療機関への悪影響は計り知れないものがあるといってもいいだろう。

 その点は寺嶋教授も、

「すでに各地の医療機関では発熱外来の予約が取れないとか、救急医療へしわ寄せがきているといった話が出てきています。その上で、もし今アメリカで拡大しているXBB1.5といった新たな変異株が日本に入ってきたりすれば医療崩壊のリスクはさらに大きくなってくるでしょうね」

 と心配の色を隠さない。

体の免疫力を高めることで「ダブルパンデミック」を防ぐ

「フルロナ」にかかると、その辛さは相当なものだという。誰しもできることならそんな思いはしたくない。それには1人1人がしっかり対策をするしかないだろう。寺嶋教授によると「フルロナ」から身を守るためには体の防御システムである免疫力を高めることが何よりも必要で、そのために心掛けるべきポイントが3つあるという。

①新型コロナとインフルエンザのワクチンを接種しておく。

②マスクの徹底や手指の消毒、定期的な換気など基本的な感染対策をきちんとする。

③毎日7~8時間の睡眠やバランスの取れた3食の食事をしっかり摂り、ストレスのない生活スタイルを守ること。

 さらに、

「さまざまな研究の結果、腸内細菌のバランスを整えることによって体全体の免疫力を高められることが明らかになっています。そのためには毎日意識して食物繊維や、ヨーグルトなどの発酵食品を摂るようにすることが大切ですね」(寺嶋教授)

 ヨーグルトはコンビニやスーパーなどでさまざまなタイプのものが売られているが、中でもR-1乳酸菌を使用したヨーグルトでは、インフルエンザの罹患率を低下させたという調査結果も報告されている。手軽に摂取できることもあって寺嶋教授も毎日必ず摂取しているそうだ。

 自分だけは大丈夫と思っていても知らず知らずのうちに感染しているのが新型コロナであり、インフルエンザだ。それだけに「備えあれば憂いなし」、かかって後悔する前にきちんと対策を考えておくことが何よりも大事だといえそうである。

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