性感染症専門医が語る「サル痘」が日本で急拡大する裏事情…2023年に入り100人突破

サル痘ウイルス(CDC提供・共同)

 潜伏期間は6~13日(最大5~21日)。発熱、頭痛、顎の下や頚部や鼠径部にリンパ節腫脹などの症状が数日続き、その後発疹が現れる。多くは2~4週間で自然治癒するが、患者の状態によっては重症化し、皮膚の2次感染や気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を生じる場合もある。

「昨年から欧米で流行しているサル痘は、アフリカでは見られない、新たな症状が報告されています。それは発熱やリンパ節腫脹などの症状なしで発疹が現れたり、発疹が会陰部や肛門周辺や口腔内に集中していて全身性の発疹が見られないケースが報告されています。治療法は対症療法で、特別な薬はありません。予防法は流行地で感受性のある動物や感染者との接触を避ける以外にありません」

 では、もしサル痘を疑うような症状があればどうしたらいいのか?

「まずはかかりつけ医に相談してください。かかりつけ医がいない場合は、公的医療機関か保健所に相談しましょう。サル痘の症状は水疱瘡や麻疹、梅毒、天然痘などさまざまな病気に似ていることからそれらと区別するための検査が必要です。検査は発疹内にたまった水分や膿、かさぶた、血液などを採取して遺伝子検査などを行い、サル痘ウイルスに感染しているかどうかを確認します。確認されればサル痘と診断されます。海外ではサル痘の治療薬が承認されていますが、日本では具体的な治療薬はなく、症状に合わせた治療が検討されています。なお、サル痘については天然痘ワクチンに予防効果があることが確認されており、患者が出た場合はその接触者となる人に対する接種が可能になっています」

 あなたは大丈夫?

4 / 4 ページ

関連記事