認知症の代表であるアルツハイマー型認知症では、まずアミロイドβというタンパク質が脳にたまり、それからしばらくして今度はタウという別の脳内タンパク質がリン酸化という変化を起こして蓄積します。脳細胞が死んで物忘れなどの症状が出るのは、それから後の話です。
したがって、この2種類のタンパク質の蓄積を防ぐことができれば、認知症自体を予防できるかもしれません。しかし、現在においても、安全かつ確実に、認知症を予防するような治療法は確立されていません。
スボレキサント(ベルソムラ)という睡眠薬があります。この薬は脳の覚醒を維持する働きを持つ、オレキシンという脳内物質の働きを抑える作用を持っています。じつはこのオレキシンには認知症を進行させるような作用のあることが動物実験などで報告されているのです。
それでは、この薬を寝る前に飲んで夜間のオレキシンの働きを抑えることにより、認知症の進行予防につながるのでしょうか?
医者も知らない医学の新常識