高齢者の正しいクスリとの付き合い方

血圧を下げるα1遮断薬とβ1遮断薬 きちんと副作用を知っておく

メリットとデメリット、十分に理解して

 みなさんも一度は「アドレナリン」という言葉を聞かれたことがあると思います。「気持ちが高ぶると出てくるもの」とイメージする人が多いでしょうが、それで大きく間違っていません。

 アドレナリンはノルアドレナリンなどとともに「カテコールアミン」と呼ばれるホルモンの一種です。これらのカテコールアミンは、交感神経にある受容体を介してさまざまな作用を示します。α1受容体は主に血管に存在していて、そこにカテコールアミンが作用すると血管収縮が起こり、血圧が上昇します。この作用は、特に大ケガをした時や手術直後などの緊急時には、生命維持にとって必要なもの(血管収縮は止血にもつながり、血圧の維持という点でも重要です)なのですが、通常の状態では高血圧の原因となってしまいます。そういった場合に、「α1遮断薬」というクスリを使うとカテコールアミンがα1受容体に作用することができなくなるため、降圧効果が得られるのです。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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