高齢者の正しいクスリとの付き合い方

多くの種類がある降圧剤はどう選択され、どう使われるのか

クスリは医師の指示通りに服用することが重要

 ここまで5回にわたり降圧薬について紹介してきました。他にもまだ降圧薬はありますが、主なものはほぼ取り上げましたので、今回は、実際にこうした降圧薬はどのようにして選択されて使われるのかについてお話しします。

 まず大前提として、高血圧の治療の基本は「減塩」と「適度な運動」です。食事に関しては、高齢になると味覚が低下するため濃い味付けになる、つまり塩分摂取量が増える傾向があります。かといってただ薄味にすると食事が進まなくなってしまいますので、おだしやスパイス、酸味などをうまく利用して塩分を少なくするように心がけましょう。

 減塩と適度な運動を行っても血圧が高い場合、「降圧薬」が必要になります。降圧薬は単剤から開始するケースがほとんどです。脳出血などで可及的速やかに血圧を下げる必要があるときには最初から複数の降圧剤を使うこともありますが、基本はカルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬のどれかひとつから開始します。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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