前回お話ししたアスペルギルス症と同じ真菌感染といえば、「カンジダ感染症」のほうが有名かもしれません。以前、当連載でも膣カンジダについては取り上げたことがあります。免疫力の低下などにより、膣内常在菌であるカンジダが異常繁殖してしまうことが発症の原因だと説明しました。
じつはカンジダは膣以外にも常在しています。「口腔カンジダ症」は、口の中に常在するカンジダによる感染症です。常在菌であるため、やはり免疫力の低下などがきっかけとなり発症するケースが多いです。
何らかの基礎疾患(血液疾患、AIDSなどの免疫不全症、糖尿病など)や、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者、免疫抑制剤や抗菌薬の投薬治療を受けているといった全身的因子による発症がみられます。口腔カンジダ症が先に見つかってよく調べてみたらAIDSだった、なんて話も耳にします。他にも唾液量低下や義歯の不良など、口腔内環境の局所的因子による発症にも注意が必要です。
感染症別 正しいクスリの使い方