感染症別 正しいクスリの使い方

【真菌性眼内炎】目の中にカビが侵入して発症 カテーテル留置の合併症も

免疫力が低下しているとなりやすい

 真菌(カビ)による感染症で、最近話題になったもののひとつが「真菌性眼内炎」です。カンジダやアスペルギルスなどの真菌が目の中に入り込んでしまうことで発症します。コンタクトレンズの装着や外科的な手術などで直接的に目が損傷を受ける場合(外因性)と、体の中で目以外のところから血液を介して目に真菌が運ばれる場合(内因性)の主に2つが知られています。

 真菌性眼内炎は、免疫力が低下している状態で出現しやすいことも知られています。具体的には、ステロイドの使用、エイズ、糖尿病、悪性腫瘍などがリスクとなります。特に話題になったのは、中心静脈カテーテルを長期間血管内に留置している場合の真菌性眼内炎です。このカテーテルは、栄養状態の悪い患者さんや、長期間口から食事をとることが難しい方に水分や栄養を補給してもらうために挿入します。通常は、糖質、アミノ酸、脂質、電解質などの高濃度の栄養輸液を24時間かけて点滴します。高カロリー輸液とも呼ばれ、投与ルートとなるカテーテルは、一般的に鎖骨下静脈から挿入し、先端部を上大静脈(中心静脈)に留置します。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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