感染症別 正しいクスリの使い方

【口腔カンジダ】口の中の常在菌が原因 免疫力の低下をきっかけに発症

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 この疾患、薬剤師としては、喘息患者さんへの吸入薬指導の際に説明するケースが多い疾患です。ステロイドは免疫を抑えることが知られていますが、ステロイド含有の吸入薬使用時に、薬が口腔内に残存してしまうと口腔カンジダ症のリスクが上がってしまうのです。ですので、「薬を吸入した後は、口の中に残った吸入薬を洗い流すためにしっかりうがいをしてくださいね」という服薬指導を行います。

 口腔カンジダ症を発症すると、口の中が白い膜(白苔)で覆われたり、口腔内の発赤やびらん、痛みなどが出現します。軽症の場合はうがいなどで口腔内の清潔環境を保つことだけで治ることもありますが、抗真菌薬による治療が必要になる場合もあります。内服薬の処方のほか、患部に塗布できる抗真菌薬のゲル剤などを用いるケースもあります。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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