役に立つオモシロ医学論文

子供のお留守番は虫歯のリスクと関連 東京の小学生調査で判明

写真はイメージ

 通信教育事業などを展開する日本の大手企業が実施した調査によれば、初めて子供だけで留守番をさせた時期は、小学校1年生という回答が最多でした。子供を家で1人にさせることは、自立心を育む良い機会と考えることもできる一方、親の監視の目が行き届かない状況では、子供の生活習慣が乱れる可能性もあります。

 このような生活習慣の乱れは、子供の虫歯のリスクを高める原因となるかもしれません。そのような中、子供が1人で過ごす頻度と虫歯の関連性を検討した研究論文が、日本疫学会誌の2023年6月号に掲載されました。

 この研究では、東京都足立区の小学校に通う小学1年生1万2029人が分析対象となりました。子供を家で1人にさせる頻度は、保護者を対象としたアンケート調査に基づき、「一度もない」「週に1回未満」「週に1回以上」に分類しています。また、学校で行われた歯科検診のデータを用いて、子供が1人で過ごす頻度と虫歯の関連性が検討されました。なお、研究結果に影響を与え得る母親の年齢や就業状況、世帯収入、兄弟の有無、祖父母の同居有無などの因子について、統計的に補正して解析されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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