もしそれでも血圧が十分に下がらなかった場合、その薬の量を増やす(1回1錠から2錠にするなど)のではなく、基本的には他の作用メカニズムの薬を組み合わせます。たとえば、カルシウム拮抗薬から開始して、もう少し血圧を下げたい場合にはARBと組み合わせるといった感じです。場合によっては3種類、4種類を組み合わせて用いられるケースもあります。こうした薬物療法を行っている場合でも、同時に減塩や適度な運動は必要です。
一方、前回紹介したα1遮断薬やβ1遮断薬は、高血圧治療の第1選択には入っていません。これらのクスリ(特にα1遮断薬)は、他の降圧薬をしっかり使っているにもかかわらず血圧コントロールが十分にできていない場合に使用されるケースが多いです。
降圧薬を使用していると、血圧が下がることによるめまい、ふらつきが起こることがあります。特にα1遮断薬を使用している場合に起こりやすいです。これらはクスリの効果が出ているという“証し”ともいえますが、転倒のリスクにもなるので気をつけましょう。とりわけ高所での作業中にそういった症状が現れると、転落につながる場合もあるので、できれば避けていただきたいところです。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方