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「朝方」と「夜型」はどちらが長生き? フィンランドの疫学研究

夜型人間は寿命が短い!?

 朝型人間と夜型人間という言い方をされることがあります。これはクロノタイプと言って、科学的な生活パターンの分類のひとつです。人間を含めた動物には、一日のうちでどの時間が一番活動的かという、特定のパターンがあります。動物はほぼすべて夜型、のようにその性質が決まっていることが多いのですが、人間の場合には、朝が得意な朝型の人もいれば、夜になると活動的で朝は苦手という夜型の人もいて、必ずしも一定していません。朝型人間と夜型人間はどちらが健康的なのでしょうか?

 夜型というとどうしても不健康なイメージがあり、実際に夜型人間では生活習慣病などの病気が多い、というデータもあります。ただ、朝型と夜型のどちらが長生きか、というような点については、あまり正確なことが分かっていません。

 今年の生活リズムについての専門誌に掲載された論文に、フィンランドにおける疫学研究のデータが公表されています。2万人以上の一般住民のクロノタイプを分類して、37年という長期の追跡調査を行ったところ、夜型人間では死亡リスクが朝型と比較して9%有意に増加していました。つまり、夜型は寿命が短い、という結果です。しかし、ここでたばことアルコールの影響を除外して解析すると、寿命の差はなくなってしまったのです。夜型人間が短命なのは、どうやら他の悪い生活習慣に問題があったようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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