乳がんに朗報! 世界初「ホウ素中性子捕捉療法」による試験的治療がスタート

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用加速器型中性子照射装置システム(江戸川病院提供)

 ただし、中性子は体表面から6センチ程度にまでしか届かない。そのため、2020年6月に始まった公的保険によるBNCT治療の対象は、切除不能な局所進行または局所再発の頭頚部がん。試験的に行われている治療も皮膚がんといった患者数の少ない疾患にしか使われてこなかった。

「今回、皮膚から近く、がん患者数の多い乳がんの患者に対してBNCTが、試験的とはいえ治療がスタートすることはとても意義深いことです」(都内のがん治療医)

 現在、公的保険によるBNCTでの頭頚部がん治療が可能な施設は南東北BNCT研究センター(福島県郡山市)と大阪医科薬科大学関西BNCT共同医療センター(大阪府高槻市)。施設の導入が進み試験的に治療が行われているのは、今回スタートする江戸川病院のほかは国立がん研究センター中央病院(東京・築地)がある。筑波大学、岡山大学、京都府立大学、湘南鎌倉総合病院でも施設導入が進んでいる。

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